世界遺産 乳香の地 Land of Frankincense

ホール・ルーリー(スムハラム遺跡)
乳香公園
オマーンの世界遺産のひとつに「乳香の地」があります。古代の乳香交易の様子や中世の要塞の様子を今に伝える、文化的景観です。
古来、高級な乳香が採れる地域として知られるのが、ワーディ・ダウカです。
砂漠の中の約5 km²のワーディ(涸れ谷)に乳香の木が点在しているのですが、天然の物は、政府の管理のもと、フェンスに囲まれています。今回、鍵を開けて中にいれていただきましたが、強風と乾燥に耐えた、荒々しい樹皮が印象的でした。一帯は現在、ワーディ・ダウカ乳香公園として整備され5000本もの乳香の木が植えられています。その昔、ここで採取した乳香をラクダの背に乗せたキャラバンは、北に位置する砂漠の隊商都市シスルや南のサラーラ近郊の海辺のホール・ルーリやアル・バリードをめざしたのです。
素人目にも天然の良港に思える、ホール・ルーリには紀元1~2世紀に乳香貿易によって栄えた都市スムハラム(Sumharam)の遺跡があり、「月の神」の神殿や乳香の貯蔵庫、深井戸などの他、「シバの女王の宮殿」とも言われるれる遺跡があります。イエメンからこの地方までを治めていた女王は、良質の乳香を得るためにしばしばここを訪れて、宮殿に滞在したと伝えられています。
その他、広大なアル・バリード遺跡など、古代から中世まで何世紀にもわたって繁栄した乳香交易の栄華がしのばれます。