桑名の蛤蛤は不思議だ。貝好きの私はいつもこの貝は何故火を通して食べるのか疑問に思う。
開高健の本の中で、ニューヨークのブルックリンの海岸通りのイタリアンで、生の蛤をレモンをかけて食べたシーンがあるのに、なぜ日本では生食しないのか不思議でした。実は桑名の蛤を現地でレモンで食べてみたら美味しかった。
こんなに貝を生で食べる国民が、蛤だけは生食しない。どうやら、蛤の身肉には腸内のビタミンB1を分解する酵素が存在し、生食するとビタミンB1が欠乏するというのです。ちなみに欠乏症は、大きく分けて脚気(かっけ)とウェルニッケ・コルサコフ症候群との2種類があります。前者では末梢神経が、後者では中枢神経が侵されるために起こります。ちなみに、多く含まれる食品は身近なところで、豚肉とたらこでしょうか。
ビタミンB1の欠乏症予防の為に、全て蛤は加熱するのです。
江戸前のお鮨で煮蛤は大好物の一つです。職人の技に関わる物の一つだと思います。蛤の煮汁を煮詰めて作ったツメを塗って出されるこの蛤の美味しさは格別です。 栄養価は?というと、タウリンのほか、鉄や亜鉛などのミネラルを豊富に含み、コレステロールを下げ、動脈硬化や高血圧症を予防する効果や、滋養強壮にも効果があると言われています。そして、ビタミンB12が豊富に含まれています。又、お肌のビタミンと言われるビタミンB2が含まれ、粘膜や皮膚を健やかに保つ働きでお肌を綺麗に保ちます。4月からは産卵期に入り、その直前は身も太くおいしいので、2月、3月は蛤の季節です。そして、独身の女性には、ひなまつりに食べると「良縁」を招くと言われています。